私はネットワーク管理者でパソコン、特にWindowsパソコンは大嫌いで、自分のデスクトップPC以外は全てFreeBSDかLinuxを使っています。デスクトップPCも、MSオフィスのためだけにWindows 11にしています。一方、オフィス内のクライアントはほぼ全てWindows PCですので、その素性を知らずにネットワーク管理者は務まりません。そんな私にユーザからこんなクレームがよく来ます。
状況設定

今YouTube動画見てるんだけど、なんでこんなにネットワーク遅いん?カクカクやで?

どこで見てますか?

オフィスだけど?

WiFiですか?それともLAN?

今はWiFiだけど、LANでも変わらないんで、遅いネットワークのせいですよ。何とかしてくれないか?

あぁ、そうですか。ちょっと見てみますね。お待ちください。
そこで、オフィスのファイアウォールやルータ、スイッチのインターフェースの状況を見てみますが、特に問題は見つからず。

オフィスのネットワーク機材の状況を見てみたんですが、特におかしな動きをしているものはなかったですよ。パソコンの状況見てみました?

はぁ?普通に動いてますよ?

わかりました、ちょっとリモートでパソコンにつないで状況を見てみます。
考察
ユーザからすると、インターネット動画が見れない、すなわちネットワークが悪いと短絡的に考えてしまいます。たぶんご家庭の皆さんと同じ状況であると思います。
別のページにも書きましたが、今インターネットを使っていないという方はほぼいないということができます。では今使っているインターネットが問題なく正常に動いているとどうしていうことができるでしょうか?ここからしばらくは、ネットワークが正常に動いているというためにネットワーク管理者として確認すべきことをご紹介いたします。皆さんのご家庭でもこの情報は役に立つと思います。一緒にITの勉強をしてみましょう。
もう一度状況設定をしてみましょう。とある1G回線を契約していて、NetFlixの4K/UHDで動画を見ることができています。ただ、時々フレームの脱落があるようですが、とりあえず普通に見えています。
さて、この状況であなたはNetFlixを見る環境として満足でしょうか?
通常ネットワークはネットワークを熟知したネットワーク管理者によってセットアップされ、維持管理されています。しかし、そのネットワークを使うユーザがパソコンを熟知しているかというと、そうでないことが一般的です。なので、直感で使うことができるWindows PCが選ばれます。勿論ネットワークのハードウェアは壊れることがあります。またオフィスの主役は社員の皆さんです。席替えもあるでしょうし、ミーティングで座席の移動だってするでしょう。ですので、その壊れ方によって、あるいは機材を触ったことによる接触不良や断線などが発生したことにより、どのような問題が起こるかわかりません。その症状に応じて我々ネットワーク管理者は問題を解決してゆきます。が、現実問題として、ネットワークの問題よりパソコン側の問題の方が多いのが事実です。過去の経験より、ネットワークの問題を解決してくれとしょっちゅう訴えてくるユーザに限って、ITの知識が乏しいという傾向にあります 🙂
パソコンの動作確認
YouTubeが見れないという社員のパソコンにリモート接続して状況を見てみたのですが、Google Chromeの窓が30個くらいあり、PowerPointやExcelもたくさん開いており、動画を見るのに十分なメモリが残って無いことがわかりました。何をするにもメモリは喰うもので、例えばGoogle ChromeでCiscoさんのトップページを開いてみると、

196MB使用していることがわかります。各ページのタブのところにマウスを持ってゆくと各タブがどれくらいメモリを消費しているかがわかります。シンプルな検索も何もしていないGoogleのトップページでも、

68.8MB消費しています。結構使うものですよね。一昔前は32bit OSが多かったので、いくら頑張っても最大4GBのメモリしか使えませんでした。今は64bit OSが主流なので、ほぼ無限にメモリを持つことができます。因みに、1GBは1024MBに相当します。よく似たことがネットワークでも起こっています。インターネットにつながっているものが多くなりすぎて、32bitアドレスのIPv4では足りなくなってきて、128bitのIPv6が作られました。こちらもほぼ無限のネットワーク機器がインターネットに接続できて、ユニークに識別できるアドレスを持つことができます。
誤解を避けるために書いておきますが、64bit OSのメモリサイズがほぼ無限と書きましたが、アドレスが64bitの有限ですので、当然それを使用するメモリサイズも有限です。64bitアドレスで使用できるメモリサイズは、16EBとなります。EBと書いてエクサバイトと読みます。このエクサもギガやメガの親戚です。16EBは172億GBに相当します。32bit OSの4GBから考えるとほぼ無限ですよね 🙂
話を元に戻します。ぱっと見にアプリケーションが沢山走っているように見えました。そこでパソコン全体でどれくらいメモリが使われているか調べてみました。タスクマネージャを起動することで知ることができます。こんな感じです。

これは私のパソコンの情報です。Windows 11 Proで、64bit OSなので、4GB以上のメモリを持つことができます。16GB載せているのですが、16GBメモリのうち、11GB使っています。5GB弱余っているのでまだアプリケーションが快適に動く余裕があります。これはパソコンの実メモリの話ですが、システム内には仮想メモリという、実メモリと同じように使われるメモリもあります。実メモリは有限なので、一時的に足りなくなったメモリをディスクのファイル上に作った仮想メモリに割り当てて一時しのぎをします。こちらが仮想メモリです。私のパソコンでは7680MB割り当てられています。

例の社員1のパソコンを見てみると、実メモリの空きがほとんどなく、ディスクへの入出力が多くなっていました。このことからメモリ不足で仮想メモリへのページングかスワッピングが起こっているので動画が不安定になっていると判断できます。ページングやスワッピング発生時の特徴として、プロセッサの使用率が低空飛行を続けている状況が多く発生します。
因みに、ページングはアプリケーションで使用されるメモリの一部が仮想メモリに移されることをいいます。スワッピングとはページングでは足りなくて、アプリケーションのプロセス自体が丸ごとディスクへ移される状況です。この状態がもっとひどくなると、スラッシングという状況になります。実メモリが足りなくて仮想メモリに押し出されたプロセスの一部が実行に必要になり実メモリに引き戻され、その引き戻しのために別の部分が押し出されます。このような状況が実メモリ上の至る所で発生します。こういう状況になると、アプリケーションはもはや動いているようには見えません。
対策
この場合の短期的な対策は、起動しているアプリケーションをたくさん閉じて、空きメモリを確保する。長期的には、これだけのアプリケーションをいつも開く必要があるのであれば、実メモリの増設、そうでなければ使った窓は使い終わったら閉じる癖をつける 🙂 が正解となります。実メモリの空きを確保しても快適に動画を見ることができないのであれば、それはネットワークに問題があるのかもしれません。今がネットワークのアップデートの時期かもしれません。WiFiなどの光回線以外をお使いの方は勿論、既に光回線をお使いの方でも最適の光回線に乗り換えてみませんか?こちらで最適な光回線を調べてみましょう。